2011年05月18日
フォアハンドの開き その2
今日は上体の開きの第2弾です。
『ぼこびっち』 さんからの質問、以下がそのコメントの全文です。
楽しく拝見してます。
フォアハンドの上体の回転とスイングのタイミングについて疑問があります。
フェデラーは上体の回転に遅れてラケットが出てくる様に見えますが、
アンディ・マリーはどちらかというと上体の回転とラケットの出方が同期しているように
見えます。
「体を開くな」という意見を良く聞きますが、フェデラーは言ってみれば
体を開いているようにも思います。
私の主観的な見え方の差でしょうか。また、やはり体は開かずにスイングするのが良いのででしょうか。
投稿者 ぼこびっち 2011/05/17 03:30
私の答えです。
フォアハンド、上体の開きについて
しっかり前を向けというコーチと、開くなというコーチがいます。
両方、同時にはできません。
実はこれ、技術論に、2系統あるためです。
1つ目は太古から、30年くらい前まで主流だった古典学派。
2つ目が、40年位前に出現したチャンピオン、ボルグ以来の現代プロ学派。
(松原さんが通常お話しているのはこちらです)
両者ではっきり違う、一番の根っこはテイクバック。
古典学派のフォアハンドの特徴は垂直な面で引くこと。
「垂直に引いた面をそのまま保てば、まっすぐに打てるはずだ」 という理論です。
ただ、腕を自由に振ると、肩の関節の構造上、
そして、スウィングを振り子のようにすると、面がだんだん上を向いていく。
これじゃあ、アウトする、ということで
腕を自由に振らないで、しっかり押していくように打つ。
上体を開かないことにより、かぶり気味の面を作って
面が上を向かないようにする。
というような指導論になったのです。
つまり、この学派のベテランやコーチは開くなというわけです。
それに対し、40年くらい前の若者たちは
「最初から面を下に向けとけば、そんな面倒なことしないで思い切りぶん殴れるじゃん」
と考えたか? 感じたか? したようなのです。
この代表格が、ボルグ、もう1人はビラスでしょうか
面を下向きに引いて、鬼のようなトップスピンで一気に世界を席捲しました。
もちろん、「思い切りぶち抜くには前向きになる」 こともやり始めました。
現代のプロは例外なくこのような打ち方です。
だからこの学派の人たちは前を向け、上体を開かなくちゃだめ、というのです。
さてここからは、現代プロ学派を前提としたお話。
フォアハンドのインパクト、基本的には開いていいのですが
グリップにより、スインパクトで面を垂直に作りやすい上体の向きがあるのです。
イースタングリップの人は完全前向きよりやや閉じ気味。
ウェスタングリップの人は完全前向き。
フルウェスタンならちょっと左向き、といったところでしょうか。
また、振りはじめるときに腕やラケットヘッドを遅らせるのも
厚めのグリップですと面が保ちやすいから使うのです。
薄めの人は面が上向きになりやすいので
腕と上体の動きが一体の人が多いのです。
マレーのグリップはウェスタンよりやや薄いのではないでしょうか
だから、あまり開かない。
それと、上体と腕が一緒に出てくる。
フェデラーも薄めなのですが、手首を折って面を下に向け
腕をウェスタンと同じような向きに使っているようです。
だから腕を遅らせて、上体の開きも大きいのです。
ウェスタンのほうが上体の回転を使いやすく
ラケットヘッドの返しも効かせやすいのです。
これはまったくの推測ですが
やんちゃだった、ロジャー君はでかい兄ちゃんたちに負けたくないので
ウェスタン気味に使うことにより、よりハードヒットを目指した。
一方、厳格なイギリス社会で育った、まじめなアンディー少年は
コーチに言われたように、あまり開き過ぎないようにしていたのかもしれません。
ところで、古典学派とか現代プロ学派とか
今日思いつきで作った名称ですので、世間では通用しません。
日本テニス学界などで間違って使わないように気をつけてください。
『ぼこびっち』 さんからの質問、以下がそのコメントの全文です。
楽しく拝見してます。
フォアハンドの上体の回転とスイングのタイミングについて疑問があります。
フェデラーは上体の回転に遅れてラケットが出てくる様に見えますが、
アンディ・マリーはどちらかというと上体の回転とラケットの出方が同期しているように
見えます。
「体を開くな」という意見を良く聞きますが、フェデラーは言ってみれば
体を開いているようにも思います。
私の主観的な見え方の差でしょうか。また、やはり体は開かずにスイングするのが良いのででしょうか。
投稿者 ぼこびっち 2011/05/17 03:30
私の答えです。
フォアハンド、上体の開きについて
しっかり前を向けというコーチと、開くなというコーチがいます。
両方、同時にはできません。
実はこれ、技術論に、2系統あるためです。
1つ目は太古から、30年くらい前まで主流だった古典学派。
2つ目が、40年位前に出現したチャンピオン、ボルグ以来の現代プロ学派。
(松原さんが通常お話しているのはこちらです)
両者ではっきり違う、一番の根っこはテイクバック。
古典学派のフォアハンドの特徴は垂直な面で引くこと。
「垂直に引いた面をそのまま保てば、まっすぐに打てるはずだ」 という理論です。
ただ、腕を自由に振ると、肩の関節の構造上、
そして、スウィングを振り子のようにすると、面がだんだん上を向いていく。
これじゃあ、アウトする、ということで
腕を自由に振らないで、しっかり押していくように打つ。
上体を開かないことにより、かぶり気味の面を作って
面が上を向かないようにする。
というような指導論になったのです。
つまり、この学派のベテランやコーチは開くなというわけです。
それに対し、40年くらい前の若者たちは
「最初から面を下に向けとけば、そんな面倒なことしないで思い切りぶん殴れるじゃん」
と考えたか? 感じたか? したようなのです。
この代表格が、ボルグ、もう1人はビラスでしょうか
面を下向きに引いて、鬼のようなトップスピンで一気に世界を席捲しました。
もちろん、「思い切りぶち抜くには前向きになる」 こともやり始めました。
現代のプロは例外なくこのような打ち方です。
だからこの学派の人たちは前を向け、上体を開かなくちゃだめ、というのです。
さてここからは、現代プロ学派を前提としたお話。
フォアハンドのインパクト、基本的には開いていいのですが
グリップにより、スインパクトで面を垂直に作りやすい上体の向きがあるのです。
イースタングリップの人は完全前向きよりやや閉じ気味。
ウェスタングリップの人は完全前向き。
フルウェスタンならちょっと左向き、といったところでしょうか。
また、振りはじめるときに腕やラケットヘッドを遅らせるのも
厚めのグリップですと面が保ちやすいから使うのです。
薄めの人は面が上向きになりやすいので
腕と上体の動きが一体の人が多いのです。
マレーのグリップはウェスタンよりやや薄いのではないでしょうか
だから、あまり開かない。
それと、上体と腕が一緒に出てくる。
フェデラーも薄めなのですが、手首を折って面を下に向け
腕をウェスタンと同じような向きに使っているようです。
だから腕を遅らせて、上体の開きも大きいのです。
ウェスタンのほうが上体の回転を使いやすく
ラケットヘッドの返しも効かせやすいのです。
これはまったくの推測ですが
やんちゃだった、ロジャー君はでかい兄ちゃんたちに負けたくないので
ウェスタン気味に使うことにより、よりハードヒットを目指した。
一方、厳格なイギリス社会で育った、まじめなアンディー少年は
コーチに言われたように、あまり開き過ぎないようにしていたのかもしれません。
ところで、古典学派とか現代プロ学派とか
今日思いつきで作った名称ですので、世間では通用しません。
日本テニス学界などで間違って使わないように気をつけてください。